That's Japanシリーズ
概要
薄っぺらなオキナワ論が一瞬にしてふっ飛ぶ明快かつ痛快な沖縄論・日本論
沖縄ブームが続いている。亜熱帯の海、音楽、スローフード、元気なおじい、おばあ……沖縄は薩摩の侵攻、太平洋戦争の激戦、アメリカの占領支配と悲惨な歴史を一身に受けてきた。いまなお膨大な基地が残り続ける。そのため、沖縄はアジアの一角から「日本」を照射し続けている。その沖縄を『ハイサイおじさん』で「発見」した人も多い。喜納昌吉は沖縄の魂を紹介した先駆者のひとりだ。「泣きなさい、笑いなさい」と語りかける『花』は、いまやアジアのスタンダード・ナンバーとなった。なぜ、彼の音楽には人をやさしく包みこむ魅力があるのだろう。「いちゃりばちょーでー(いちど出会えば皆、兄弟)」。沖縄の言い伝えには海のように広くて深い愛がある、と喜納は言う。沖縄と日本、アジア、そして世界……沖縄人ゆえのこだわりと情熱を創作の糧とする喜納の言葉にも、愛と苦悩が満ちている。
喜納昌吉(音楽家)
1948年、沖縄県コザ市生まれ。70年代前半、『ハイサイおじさん』が沖縄と日本で大ヒット。77年の『喜納昌吉&チャンプルーズ』以来、現在までに14枚のアルバムを発表。79年の『花〜すべての人の心に花を』は、アジアを中心に世界各国でカバーされ、歌い継がれている。2002年からは「すべての武器を楽器に」をテーマに、平和・環境・人権問題に精力的に取組み、共感を得ている。
目次
沖縄のトラウマ、日本のトラウマ
沖縄にある「薩摩トラウマ」
奄美と沖縄の「復帰」の違い
歴史を時間として見るか、トラウマとして見るか
『ちゅらさん』の裏にあるもの
屈折している沖縄の復帰運動
日本には「ペリー・トラウマ」と「マッカーサー・トラウマ」がある
トラウマを文化で消化して、相手に返す
日本は西洋の武器で戦っても勝てない
マッカーサーの理想主義が届かない
アメリカは先住民に学んでいる
冷戦崩壊でアイデンティティが揺らぎ出した
歴史を踏まえないと発言権はない
アメリカの魂に届く運動とは?
トラウマを克服する「祭り」
日本人には西洋と東洋をまとめる可能性がある
沖縄をどう活かすのか
生命の原理とシャーマニズムは無視できない
なぜ沖縄は経済的に自立しないのか
「すり替え」によって起こっている沖縄ブーム
沖縄の魂に火がついたコザ暴動
コザの強さの根拠
沖縄アイデンティティの中心、コザ
「火神」信仰は宇宙に通じている
沖縄人の「器用さ」、「不器用さ」
自主性をはばむ沖縄総合事務局の怪
沖縄から世界に、地球にリンクしていく
琉球音楽は、沖縄の宝
「チャンプルーズ」は嫉妬と非難の的だった
つくられた沖縄ブームとその裏にあるもの
沖縄のアイデンティティには「毒」がある
『花』がアジアに受け入れられていった経緯
沖縄は、もう一度「沖縄」に戻らないといけない
日本の扉を開けてワールド・ミュージックへ
音楽のリアリティとは湧き出すものだ
孤独の極みで『花』が生まれた
「平和」は人類精神の最高のアート
アインシュタインは戦争を超える理性に悩んだ
科学幻想は「愛」や「平和」を超えるか
コンピュータに「愛」を入れることができるか?
宇宙を中心とした「全動説」がある
人は変容しなければいけない
おじい、おばあの喜ぶ姿に励まされた
「昌吉、これはおれたちの仕事だ!」
他人が喜ぶことを自分も喜ぶ
境界を超えて見ていく魂ができあがった
「いちゃりばフレンズ」の関係が理想
沖縄に「地球」そのものを感じる
「読み人知らず」の歌には生命の証がある
地球を再生させるためのルネッサンスを起こしたい