That's Japanシリーズ
概要
テレビ朝日「ザ・スクープ」キャスターが報道の姿勢と本音を語る
たとえば、あなたが犯罪の容疑者、被害者のいずれかに立たされTVカメラや記者に始終付きまとわれたとしよう。警察情報はひとり歩きして、あなたと違う「人間像」がつくられる……誰にでも起こりうる恐ろしい現実。そんなとき、あなたは何を支えに生き、誰に向かって真実を主張するだろう?
情報の真贋を見極めることは、報道に携わる人間の資質でありモラルでもある。誤ったら公に反省すればいい。しかし、現在は報道も消費の対象であり「娯楽」でもある。長い記者生活のなかで、鳥越は「真実」を追い続けてきた。失敗もあった。そこで、彼は何を学び、どう伝えてきたのか?「ニュースの職人」を自認する鳥越の発言は、警鐘に満ちている。
目次
足元を見られたマスメディア
「メディア規制3法案」が出た背景を見るべき
ショッキングだった「報道被害」という言葉
メディアは国民性、文化と結びついている
日本のマスコミは検察の言うとおりに書いている
警察とメディアの感情共有が怖い
メディア・スクラムという問題
国民意識の向上で報道被害が顕在化した
政治家の支持率はワイドショーが決める
テレビは政治家も消費する
イメージを売るメディアは株の世界と同じ
メディア規制3法案はメディア全体に広く網をかける
日本のメディアは視聴者の風向きと一緒に動く
真紀子は大臣になってすぐおかしいと思った
報道に「真実」はあるのか?
本報道は欠陥商品だという意識が大切
新聞は常に正しいという神話があった
誤報を検証したジャネット・クック事件
新聞にも商品管理のシステムが必要
正直な報告で『ワシントンポスト』は信頼を得た
テレビの誤報で検証番組をつくった
誤報の検証はマスコミの重大な課題
マスコミ人に必要なのは真実に対する忠誠心
職人はとことん現場にこだわる
最後は「人間力」の勝負となる
被害者の家族は警察に弱い
被害者はカミングアウトで救われる
真実に直面することで強く生きていける
職人に大事なのは経験にもとづく直感
和歌山カレー事件で警察は間違っていた
いつの間にかヒ素中毒事件になった
傍流にいたからこそ複眼的な発想を持てた
新聞記者は現場を見ていない
新聞記者と週刊誌記者では価値観が違う
21世紀は“イスラム”がキーワード
何が正義かを鋭く見きわめる感性が必要
新しいメディアの形
「あのくさ こればい!」を始めたきっかけ
ボランティアで成り立つネットの世界
ネットによって内部告発が爆発的に増えた
ネットは記者のスタイルも変える
情報化社会だからこそ“ニュースの職人”が必要
21世紀は「情報は金なり」の時代
日本人の視聴者もそう捨てたものではない
書評・感想
“危機”に対し提案・提言する新シリーズ
(『文化通信』2002年11月18日)
ウェイツはこのほど、日本が抱えるさまざまな問題について各分野における気鋭の人物とのインタビュー形式で提案・提言するシリーズ「ザッツ ジャパン」を創刊、10月1日に第1弾3冊を、11月15日には第2弾2冊を刊行した。経済不況、出版不況が言われるが、「なんとかして日本を元気にするような本、大手出版社にはできない本」を目指す。
現在、地域、家庭、学校など社会で起こるさまざまな“危機”に対し「単なる批判ではなく、提案・提言をする」というのがコンセプト。6人からなる編集委員会を設け、タイトル、人選、インタビューの内容などを討議、専門家だけでなく広い視野を持った人物に聞きたい、知りたいことだけを質問する。
またタイムリー性も重視。第1弾の「報道は欠陥商品と疑え」は、9月で終了した報道番組「ザ・スクープ」(テレビ朝日)のキャスター・鳥越俊太郎氏が登場。これからのメディア、取材の在り方について提言・警鐘がなされている。