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自治労再生への挑戦

自治労再生への挑戦 前委員長北岡勝征の遺言

秋田孟 編・著

価格 1,400円(本体価格)+税 
ISBN 978-4-901391-40-5
発売日 2003/10
ページ数 264ページ
版型 四六判 ソフトカバー
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概要

「労働組合というのは日本でいちばん保守じゃないか」等々、
辛口テレビキャスター田原総一朗氏が、前自治労委員長北岡勝征に鋭く迫る対談を収録

いまからちょうど1年前の9月30日、全日本自治団体労働組合(自治労)に大きな衝撃が走った。金銭をめぐる自治労幹部の不祥事が、すべてのマスコミで大々的に報道されたからだ。全国に3490の組合がある自治労は、まさに蜂の巣をつついたような大騒ぎになったという。あれから1年、はたして自治労は……。
本書は、前自治労委員長北岡勝征の活動をたどりながら、彼の遺言ともいえる「再生への挑戦」をドキュメントタッチで追いかけている。

秋田孟

大阪府生まれ。1971年早稲田大学政治経済学部政治学科入学。大学中退後、配送業、電気設備メンテナンスなど、30ほどのさまざまな仕事を経て、89年より編集者・ライター。「ザッツジャパン」シリーズ(弊社刊)の編集委員、NPO法人代表理事などをつとめる。

目次

第一章
自治労委員長 全国を翔ける

自治労に衝撃が走った日/このような事件がなぜ起こったか/新執行部の長として/毎月五回の地方行脚を最優先/時間は二〇〇三年八月まで/地方行脚で“大名行列”をしない/前任者の分も全部俺が謝る/原点は主権者である組合員/三重県での経験が生かされる/労使対立ではなく協働の時代/不祥事処理への批判は三八七票のうち一〇票あまり/内部告発の奨励と保護/“地方の時代”に地方組織の強さが生かせる/北岡委員長誕生秘話/初仕事は被告席に座ること/北川前三重県知事との協働/三重県の改革は県職労のバックアップで進む/北川改革から学んだもの/二〇〇三年四月、三重県知事選/改革は身近なところから/自治労が変われば日本が変わる/三重県本部と中央本部を比べると/みんなに嫌がられることをするのが改革/若者の意識変革を促すこと/求められている自治労の若返り/労働者の権利は棚ぼた式に転がってくるものではない/労働組合の透明性と公平性/目標は日本一きれいな組織

第二章
北岡勝征の足跡を追って

父の顔を知らずに産まれた/貧しい少年時代につかんだもの/伝習農場で「井の中の蛙」と気づく/一年で伝習農場を終え、家族のために働く/初の公募で役場職員となる/非民主的な職場に疑問を感じ組合へ/二四歳にして書記長/結婚、そして妻は組合未亡人に/民主的な職場づくりを目指す/議論に勝ち、実践にも勝つこと/「役場に北岡あり」の声/労働運動には思想が必要/崩壊寸前の町で労働組合が果たした役割/二七歳で自治労三重県本部役員に就任/労働運動は理屈より人間関係/町村職出身者が県本部の書記長に就任/自治労三重県本部の活性化と強化のために/県職と市町村職が対立しないために/突然、参院選に立候補してくれと要請される/組織人として参議員選挙に立候補/自分自身の気持ちを抑えての選挙活動/ガチガチの保守の人も北岡を応援/人のありがたさを選挙で改めて知る/死をもって北岡を応援してくれた母親/選挙には負けたが、勝負には勝った/休む間もなく連合三重会長への話が/大混乱の参議院選挙/ごく普通の会社員が立候補/保守の地、三重県で連合候補が自民党候補に勝つ/連合三重をいかにして統一させていくか/中央に振り回されないローカルパーティを/三重県一人区で勝つということ/日本を理解し信頼してもらうために/連合三重として候補者を一本化できず/シコリを残さずに選挙を終える/北川県政から野呂県政へ/市町村との連携を重視した地元の野呂氏/野呂県政のスタート

第三章 対談
自治労の可能性と未来 〜田原総一朗 VS. 北岡勝征〜

権利と同時に義務と責任があると認識すること/地方分権を思いきり進める必要がある/党ではなく労働組合を強くする/勤労者が大事にされる社会を目指した/“生産者の立場”から、“生活者の立場”へ/自社さ政権が日本をダメにした/保守、現状維持になった労働組合/労働組合は一人のためにもがんばる/「ムラ社会」である組織にモノを言える労働組合を/「政策論」を取り上げないマスコミ/自治労を再生させるために

第四章
労働運動の明日が見えてきた

求められているのは「公平性」と「透明性」/地方分権はあとからくっつけた理屈か/市町村合併の理念をまず確立すること/高齢社会で自治労ができること/自治労だけで問題が完結する時代は終わった/自治労の横断的な組織形態がこれからは有効/闘わなくなった労働組合は必要ない/行政のビジョンや政策を実現するための自治労/自治労は再生を越えた次の段階にきている